近年注目されている事前決済とは?メリットから導入時の注意点まで

コラム

事前決済という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本でもキャッシュレス化が進み、訪日外国人観光客のインバウント需要が大きく見込めることや、飲食店などのノーショー(無断キャンセル)対策に有効な点から、その必要性が高まっているのです。そこで今回は事前決済を導入することのメリットや、注意点についてわかりやすく解説していきます。

事前決済とは?

事前決済とはWebサイトや店舗アプリを利用して予約を行う際に、クレジットカード、電子マネーなどのキャッシュレス決済で、事前に代金の支払いを済ませてしまう決済方法のことです。当日店頭での支払いが不要になるため、店舗側の会計業務を効率化でき、飲食店をはじめとする各業界で社会問題になりつつあるノーショー(無断キャンセル)対策としても注目されています。

また、事前決済を導入することで店舗側だけでなく、お客様の利便性の向上にもつながります。例えば、予約が前提となるので待たずにサービスを受けられ、会計が済んでいるため帰りにレジに並ぶ必要もありません。予約時に割引や特典サービスを付加すれば、集客と収益アップも期待できるでしょう。海外では既にクレジットカードでの事前決済が主流になっています。日本でも、SuicaやApple Payなどの現金を持ち歩かない買い物の仕方が広がってきているため、今後は事前決済がより普及していくと考えられています。

事前決済のメリットって?

では事前決済を導入すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは以下の5つです。

ノーショー対策になる

第1のメリットは「ノーショー対策になる」ことです。ノーショーとは「予約した客が連絡もなく当日現れない」という意味で、英語の「no show」を日本語読みにしたものですが、日本では無断キャンセルと言ったほうがわかりやすいでしょう。ノーショーが増えている理由はさまざまですが、とりあえず複数の店を予約しておいて、キャンセルするのを忘れたり、連絡を怠ったりするケースが多くなっています。ネット上で店舗の予約が簡単にできるようになったため、予約をキャンセルする場合には必ず連絡をしなければならないという意識が薄れてきたのかもしれません。

特に年末年始の飲食店では、忘年会や新年会で大人数の予約を受け入れるので、無断キャンセルが発生すると、それだけ大きな損害になってしまいます。しかし、事前決済を導入していれば予約と同時に支払は完了しているので、予約がキャンセルされた場合でも、必要なキャンセル料金は回収でき、店舗側の損害を最小限に抑えられるのです。また、旅先のアクティビティを同一日時で複数店舗を予約したり、同一のユーザーが複数日程を仮予約しながらドタキャン(直前キャンセル)したりするような予約も防げます。

インバウンド需要を取り込みやすい

第2のメリットは「インバウンド需要を取り込みやすくなる」ことです。訪日外国人旅行者による買い物やサービス利用、いわゆるインバウンド需要は年々増大しています。この需要をうまく取り込むことができれば、大きな収益につながるでしょう。海外では事前決済が主流化しているので、海外旅行の際に渡航先のホテルや飲食店の利用料金は予約と同時に事前決済しておくのが一般的です。盗難のリスクを避けるため、現金やクレジットカードはなるべく持ち歩かないのです。そのため事前決済できないと、インバウンド需要を取り逃がしてしまう可能性が高くなってしまいます。

事前決済を導入すれば、外国人観光客が安心して予約することができ、店舗側スタッフも不慣れな外国語によるコミュニケーションでの手間を減らすことができます。

業務負担が軽減する

第3のメリットは「業務負担が軽減する」ことです。事前決済を導入すると店頭での会計処理が不要になり、店舗側スタッフのレジ業務にかける負担がなくなります。その分の時間と労力を他の業務に充てることができるのです。その結果、業務やサービスの質が向上するので、顧客満足度を上げることにもつながります。

顧客情報の取得・活用ができる

第4のメリットは「顧客情報の取得・活用ができる」ことです。予約時に氏名やメールアドレスなどの顧客情報をデータとして取得できるため、その情報を活用して、来店客のリピートを狙う有効な施策を打つことができます。例えば、定期的にメールを発信して顧客とのつながりを維持したり、セール情報を発信して来店を促したりできます。

お客様の利便性が向上する

第5のメリットは「お客様の利便性が向上」することです。事前に料金が明確になるので予約しやすくなり、クレジットカードの他にも各種キャッシュレス決済を使用できれば、残っている金額の有効利用も可能です。予約と同時に支払いを済ませるため、当日、現金やクレジットカードを持ち歩く必要もありません。予約者だけに受けられる特典やサービスが用意されていれば、さらに利便性は向上します。お客様の利便性が向上すれば、利用してもらえる頻度も高くなり、集客や収益アップにつながるでしょう。

事前決済を導入するときの注意点

事前決済は店舗側だけではなく、顧客側にもメリットがある決済方法です。
ただし、事前決済を導入するときに注意したい点が3つあります。

キャンセルポリシーは明確に

1つ目は「キャンセルポリシーを明確にする」ことです。事前決済だからといって悪質な予約が全てなくなるというわけではありません。悪意がなくても予約キャンセルによって、結果的に店舗側の損害になってしまうケースも考えられます。そのようなトラブルを防止するためには、予約のキャンセルポリシーを明確に記載しておくことが大切です。例えば、無料キャンセル期間、キャンセル料金、返金方法などを明確にわかりやすく記載しておきましょう。複雑なキャンセル規定は誤解をまねきやすくトラブルの元になるので、なるべくシンプルな規定がおすすめです。

ただし、いくらノーショー対策であっても、一度予約したらキャンセルできないシステムだったり、キャンセル料金が高い設定だったりすると、予約自体を躊躇する人が増えてしまいます。顧客の立場になって利用しやすい規定にすることを心がけましょう。

セキュリティ対策は万全に

2つ目は「万全なセキュリティ対策をする」ことです。事前決済は顧客の個人情報を集めることができる一方、その情報の管理には十分な注意が必要です。顧客情報が外部に漏洩してしまうと、店舗側の信用度は一気に失墜してしまいます。特にクレジットカードやキャッシュレス決済の情報が漏洩してしまうと、顧客に大きな損害をあたえ、店舗側にも大打撃となってしまいます。事前決済を導入する際には、万全なセキュリティ対策がなされているかを十分に確認しましょう。情報の漏洩はシステム外部からハッキングされるだけでなく、内部スタッフから漏洩するリスクもあるため、顧客情報を扱うスタッフへの情報保護教育も必要です。

事前決済のメリットをアピールせよ

3つ目は「事前決済のメリットをアピール」することです。事前決済は店側にもお客様側にもメリットがある決済方法ですが、お客様側にメリットが伝わっていないと利用してもらう機会も少なくなってしまいます。せっかく導入しても利用してもらわなければ意味がありません。事前決済は利便性が良くお得であることをアピールするためには、予約時の割引や、予約者だけが受けられる特典、サービスの提供も必要です。お客様の興味を引くような付加価値を付けることが大きなポイントになるでしょう。

事前決済の導入はお店側とお客様側双方にメリット在り!

キャッシュレス化というライフスタイルの変化の中で、事前決済は店側にもお客様側にも大きなメリットがあります。スマホで利用できる店舗アプリと事前決済を導入すれば、さまざまなキャッシュレス決済に対応できるので、よりビジネスチャンスが広がるでしょう。まだ事前決済を導入していない各店舗は、この機会に前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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