飲食店の先払いは便利?そのメリットから導入事例まで徹底解説

コラム

「会計のタイミングは店を出るとき」という常識に変化が起こっています。キャッシュレス化やITの積極的な活用によって、飲食店を筆頭に多様な店舗で先払いが導入されているのです。これは事前決済と呼ばれる仕組みであり、さまざまな恩恵があるので注目されています。この記事では、飲食店を中心とした事前決済システムについて基礎的な情報やメリットを説明し、その後に導入の事例も具体的に紹介します。

事前決済とは?

文字どおり「事前決済」とは、食事などのサービスの利用前に支払いの手続きを済ませるシステムです。スマホやカードの決済機能を使って、主に店舗を予約するタイミングで会計を終了します。キャッシュレス化による現金管理のリスク減少や国外需要へのスムーズな対応など、店舗のオーナーが得られる効果はとても大きいです。利用者にも利便性の向上というメリットがあり、スマホを所持していれば決済できるので現金払い以外の選択肢を持ちやすくなります。

なお、決済のシステム自体はすでに多くの実店舗に導入されています。しかし、現状で広く使われている決済端末や交通系ICカードによる決済手段などは、その場限りの支払いを想定したものであり、基本的に単発の売上にしか貢献していません。つまり、実店舗における安定性の高い収益にはつながりにくいので注意しましょう。

事前決済を導入するメリットは?

無断キャンセルは「ノーショー」といわれており、直前キャンセルとともに店舗に損害をもたらす迷惑な行為です。そして、事前決済の大きなメリットとして、このリスクの抑制が挙げられます。決済完了により損害額を補填しやすいことはもちろんですし、心理的なプレッシャーにより無断でキャンセルしにくいと感じる利用者もいるからです。ノーショーが飲食業界全体に与える損害額は増えており、年間で2000億円を上回ると見られています。そのため、事前決済は個々の店舗だけでなく、飲食業界を救う手段としても大きな効果を期待できるのです。

さらに、退店時に支払われるケースが減る分だけ、レジの作業が少なくなることもメリットの一つです。入金やつり銭の準備を伴う現金管理は負担が大きく、それを軽減することで会計業務の効率化を見込めます。空いた時間や人手を他の業務に回すことでクオリティが高まるケースもあり、結果的に顧客満足度がアップすることも少なくありません。また、海外では「渡航先の宿泊施設や飲食店の料金は事前決済で支払う」というスタンスが一般的です。したがって、事前決済を導入しておけば、外国人の旅行者を招きやすくなりますし、注文や会計の際に起こるトラブルの予防にもなります。

導入が進めば顧客情報を得やすくなることも重要です。事前決済システムで取得したデータをマーケティングに活用すると、リピーター獲得に向けた施策や顧客の潜在的な需要への対応が可能になるでしょう。

事前決済システムの導入事例

実際には事前決済の導入をどのように行い、どういった恩恵を受けているのでしょうか。ここでは事前決済の具体的な導入事例を3つ紹介します。

デニーズ

平日のランチタイムにおけるレジの混雑や会計業務の多さは、大手ファミリーレストランの「デニーズ」における大きな課題でした。その解消に向けて導入したのはデジタル注文決済サービスというものです。QRコードがテーブルに用意されており、利用者はそれをスマホで読み取ることで注文と決済を行えます。店員がテーブルまでオーダーを取りにいく必要がなく、顧客のレジ待ちも少なくなるため、店舗の業務効率や回転率を高めやすくなりました。また、他の業務の質を改善する余裕を持てるようになり、顧客満足度のアップにもつながっています。

一蘭

事前決済に関して、客単価の高い飲食店が導入しているというイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、実際には比較的安価なラーメン店でも導入するケースが増えています。「一蘭」もそのようなラーメン店であり、利用者が事前に行うのは、WEBサイトの専用ページに人数や日時といった来店の情報を入力することです。事前に決済できるだけでなく、店舗でその情報をスタッフに伝えることで、並んでいる顧客がいても優先的に席まで案内してもらえます。また、こちらのシステムは外国人の顧客に対する効果も高いです。日本語が分からなくても事前決済によって来店しやすいように、WEBサイトを多言語表記にしています。

マクドナルド

ファーストフード店の各社も事前決済を積極的に取り入れています。「マクドナルド」もその一つであり、事前注文システムであるモバイルオーダーの導入を進めているのです。来店前に専用アプリで注文と決済をしてもらうことで、レジの混雑や長い待ち時間の解消につながります。行列の減少によって、潜在的な顧客に来店してもらえる機会が増えるため、やがて売上がアップしていくことも期待できる取り組みです。ファーストフード界をけん引する世界的な企業がこのシステムを導入したことは、事前注文と事前決済を普及させる大きな後押しになると予想されています。

アプリの活用で先払いシステムを積極的に導入しよう

飲食店にとって、事前決済システムは大きなメリットを期待できるものです。現金払いにしか対応していない場合などは難しそうに感じるかもしれませんが、店舗アプリを用意すれば導入を実現できるようになります。これから売上や顧客を増やしていきたいなら、積極的に事前決済システムを活用する方向で検討してみると良いでしょう。

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