【サブスク制度徹底解説】飲食店のチケット販売導入事例まとめ

コラム

テクノロジーが進化するなか、従来のやり方で生じていたさまざまな課題の解決策として、新しい技術を活用したビジネスモデルへの転換を試みる飲食店が増えています。そして、新たなビジネスモデルとして大きな注目を集めているのがチケットなどを活用した「サブスク」です。この記事では、サブスクの基本情報や導入するメリット、飲食店におけるチケット販売のシステムなどについて詳しく解説します。

サブスクとは?

「サブスク」とは、「雑誌などの購読予約」や「予約制イベントの回数券や会員券の購入」といった意味を持つsubscription(サブスクリプション)の略語です。ビジネスにおいて使用する「サブスク」は、お客様から定額の会員費をいただき、その見返りとしてお客様にとってメリットとなるサービスを提供するシステムを指します。お客様にとってメリットとなるサービスとは、たとえば、会員特典や割引などです。

サブスクシステムを導入するビジネスとして広く知られているものに、音楽や映画などを楽しめる定額制サービスがあります。月額料金を支払ったユーザーが対象の音楽や映画を聴き放題、見放題できるサービスです。このようなサブスクビジネスは、活用のメリットが高く、飲食業界でも注目が高まっています。「月額3000円を支払ったユーザーはコーヒーが飲み放題になる」といったサブスクなど、お店の特徴や強みを生かしたさまざまなサービスの提供が飲食業界で広がってきているのです。

飲食店がサブスク制度を導入するメリットとは?

サブスク制度を始めることにより期待できるメリットは主に3つあります。
1つ目は、定額会員サービスの導入で安定した収入を得られることです。従来のシステムでは、飲食代金がそのままお店の利益につながっていました。しかし、変動のある飲食代金に頼ると、お店の利益は不安定になりやすい傾向にあります。天候や季節、時期などによってお客様が飲み食いしたいと思うものは異なり、飲食店のコストの多くを占める食材の価格も時期や自然災害、輸送費などの影響を受けて変わりやすいからです。ただし、サブスク型の飲食店であれば、飲食代金とは別に、会員券の売り上げを固定収入として確保できるため収益が安定しやすくなります。

2つ目が、お客様の購買意欲を高めるきっかけを作れることです。消費者が購買意欲を高めるきっかけとなるもののひとつに、「お得感」があります。会員限定の特典や割引をお得に利用できるチャンスを無駄にしたくないと思う心理状態がお客様に働けば、購買意欲が高まります。特典や割引を利用するためにお店に足を運ぶ機会が増えることで、お客様ひとりあたりの月間の平均来店回数を上げられ、売り上げアップにつなげることも可能です。

3つ目として、飲食業界では取り組みが遅れ気味だった、顧客データを利用したデータマーケティングを効率的に行えるようになる点もメリットです。会員登録などの際に提出する申込データには、氏名や性別、年齢など、さまざまな顧客情報が含まれています。また、入会後は会員の購買データも簡単に集めることができ、データを活かして、その時々の需要に応じた施策を有効的に実施できるようになります。

飲食店におけるチケットなどのサブスク導入事例

さまざまなメリットがあることから注目を集めているサブスクですが、実際にどのような店が導入し、導入した飲食店ではどのような効果を出しているのでしょうか。ここでは、チケット販売などのサブスクを実際に導入した飲食店の事例を3つ紹介します。

さきめしチケット

「さきめしチケット」は飲食店のチケットをお客様が先払いで購入するシステムです。2020年3月からスタートしたサントリーの支援によるプロジェクト「さきめし」のひとつとして実施されています。「さきめし」は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて営業の自粛や休業を余儀なくされている飲食店の応援を目的に行われているプロジェクトです。このシステムを利用する飲食店は飲食代金を迅速に受け取れるため、いま必要なお金をできる限り多く手元に置くことができます。一方、お客様はチケットを先払いで購入でき、後で食券として利用することが可能です。さきめしチケットの利用方法はシンプルで、まず、利用者がエリア別に登録されている飲食店のなかから利用したいお店を探します。次に、利用するお店のチケットを先払いで購入したら、あとはお店を訪れるだけです。

ばんからラーメン「ラーメンパスポート」

「ラーメンパスポート」は、「東京豚骨拉麺ばんから」の池袋東口店と秋葉原店が限定で提供しているサブスクサービスです。事前にパスポートを購入しているお客様なら、対象となる3種類のラーメンのなかから1杯まで毎日無料で食べられます。ほかにも、8種類のトッピングが無料で付けられる「トッピングパスポート」など多種のパスポートが用意されていて、ラーメン好きな人にお得感を覚えさせられるサブスクサービスです。パスポートの月額は、「ラーメンパスポート」が6600円、「トッピングパスポート」は300円に設定されています。

牛角「焼肉食べ放題PASS」

全国に焼肉店を展開する「牛角」では、「焼肉食べ放題PASS」というサービスを提供していました。「焼肉食べ放題PASS」は、指定の焼肉食べ放題コースを1カ月間、回数無制限で無料利用できるパスです。80品以上のメニューから選べる通常2980円の「お気軽コース」と、100品以上から選べる通常3480円の「牛角コース」の2つのコースから選べて、1カ月の月額は11000円で設定されていました。牛角はこのサブスクサービスを提供したことによって、来客の再来店頻度が増え、客席の稼働率が上がり、長期的に見た売り上げがアップしています。ただし、予想以上にサブスク効果が出て、パスの利用者が想定外に増え、一般客の利用が難しい状況にまでなってしまったため、販売は終了しています。

飲食店とサブスクは相性ばっちり!

飲食店でサブスクシステムを導入するメリットなどについて理解できたでしょうか。新型コロナウイルスなどの影響により売上低迷に悩む飲食店も多いことでしょう。そのような飲食店にとって、安定した収入源を確保でき、リピーターを増やすチャンスにもなるサブスクは魅力あるシステムです。飲食業界との親和性が高いサブスクシステムは、前例が少ないことを理由に利用しないのは惜しい制度のため、前向きに検討してみましょう。

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